初投


3月に入り、
今シーズンの渓流釣りが解禁になった。
険しい場所に釣りに行くためにクライミングを始めたSさんに誘われて、
今日は近くの川へ釣りに出かけた。
朝の気温は−5℃。
河原には雪が残り、
滝はまだ凍ったままだったが、
透き通る水や白い花崗岩の岩肌を越え、
青空の下で強くなり始めた陽射しを受けて川を遡行するのは
とても気持ちのいいものだった。
氷が張っているこの時期だからこそ、
出会えた風景もあった。
水温が低く、
魚は岩陰に潜んだまま、
まだまだ活発には動かない。
一度イワナがかかったものの、
合わせられずに逃がしてしまった。
釣り名人のSさんも4匹と、
今日はなかなか難しかったという。
Sさんに教えられて、
糸の結び方などを覚えた。
もう少し暖かくなったらまた来よう。
斜光を浴びながら林道を車へと戻る道に、
故郷の山を歩く懐かしさを感じた。