残雪の北鎌尾根




北鎌尾根に行って来ました。
夏のような陽射しの中を横尾へ。
半袖でも暑いくらいの気温。
横尾をすぎるとようやく登山道に雪が出てきました。
槍沢を辿り、大曲へとゆるやかな登り。
地形図で水俣乗越を確認し、トレースのない急な雪面を登ります。
部分的にすねあたりまで潜るが雪質はかなり安定していました。
水俣乗越から北鎌沢出合まで一気に下ると樹林帯の中の出合に到着。
傾斜がゆるくて木々が立ち並んでいるので雪崩の心配はまずなさそうだと一安心。
真正面に、北鎌沢の雪面が回廊のように北鎌尾根へと続いています。
沢水も取ることができ、絶好のキャンプ地です。
翌朝、日の出前に出発。北鎌沢の急登を2時間強かけて北鎌尾根へ登り詰めました。
ここからが本番。
急な雪面を越えてピークに立つと堂々とした独標がそびえ立ち、かすかにトレースが見えます。
どこを登るのだろうかと目でルートを確認するが、下部のルートはわかりません。
尾根を辿ると、もうすでに雪は消えてしまって脆い岩だらけのガレ場などが露出していました。
ライミング自体は簡単だけれど、岩の脆さがいやらしい。
アイゼンを付けたまま岩場やガレ場をトラバースしたり登ったり。
遠目に見えた雪面に出てダブルアックスのダガーポジションで快適に登ると独標に到着。
折り重なるピークの向こうに、槍ヶ岳本峰が堂々とそびえ立っているのが見えました。
ここから先も雪は少なく、脆い岩稜を辿る。
テント装備一式を背負った荷物の重さが次第にこたえてくるが、浮き石に気をつけて一歩一歩、一手一手を確認しながら出して行きます。
快晴の空、ほとんど風がない最高のコンディション。
時間がかかれば頂上直下の北鎌平で幕営する予定でしたが、槍ヶ岳山荘まで行けそうだったのでひと休みしてから頂上への最後の登りへ。
さすがに今までで一番傾斜がきつい。
標高と気温が下がったおかげで雪面にアックスが刺さりやすい。
さすがに疲労が溜まってきましたがあとひと踏ん張り。
岩を登り、雪を登り、また岩へ。
頂上直下には2カ所、�級〜�級くらいの岩場があったものの、ロープなしでも登れそうだとそのままノーロープで。
荷物が重くてやっかいだったがその岩場を越えると祠のある頂上へ出ました。
頂上で休んでいると、槍ヶ岳の峻峰の影にブロッケン現象が現れました。
慎重に小屋へと下り、テントを設営。
14時間近い行動時間でさすがに疲れました。
無事に小屋に辿り着いた安堵感を感じながらビールを飲んで夕食を食べるとすぐに夢の中へ。
翌日も晴れ。本当に天気に恵まれた3日間。
槍沢を一気に下って昼過ぎに上高地に到着しました。
今回、とても素敵な風景にいくつも出会え、写真を撮ることができました。
それらを素材に、絵の制作に取りかかります。
秋の展覧会でお披露目したいと思っています。