2時間のスケッチ旅行


エルクでの展覧会に向けて毎日絵を描いるのですが、
部屋に篭って制作ばかりしているのにちょっと飽きたなと思ったところ、
他の仕事(雑誌など)がすっかり途切れていることに気がつきました。
仕事がない。
展覧会のために絵を描いていても、絵が売れなければ収入はないわけで、
額やマット、交通費で準備にけっこう費用がかかるので、赤。
ある意味「懸け」です。
まずいなと思いつつ、せっかくの機会だから今までできなかったことをしようと、
昼食を食べてから準備。
小さなザックにスケッチブックと画材、ダウンジャケット、本、水筒、コーヒーの粉とクッカー、バーナー、チョコレートを少し詰め込んで
前々から描きたいと思っていた、近所の廃屋へ。
2時間のスケッチ旅行。
幸い、今日は風のない暖かな一日で、絵を描き、コーヒーを淹れ、土手に寝転んで本を読み、また絵を描く。
すぐそこにあるものなのに、なかなか今まで描かなかったこの土地の風景。
足で歩くスピードがちょうど良い。
車ではなく、足で歩いていると、子どもの頃の学校への登下校時に見た風景を思い出します。
こうして歩くと、柿の木や農作業をするおじさん、長靴、民家、崩れかけた農機具庫など、描きたいものがたくさん目につくから不思議です。
陽の暖かさ、風の冷たさ、干し草を焼く匂い・・・それらをすべて吸収しながら、ほぼとぼと歩くことのたのしさ。
ああ、ここに生きているなと思う。
もう一度、登下校時に心奪われた風景と出会えるだろうか。